20091203

吉田修一『悪人』

「幸せになりたかった。ただそれだけを願っていた。」

吉田修一『悪人』

久しぶりに「睡眠時間を少し削ってでも読んでいたい」と思えた本。

まだ読了していないので、内容については書けないけれど、
人間というものの不器用さがもどかしく、ちょっと愛おしくも思えてくる。

小説を読みながら思い出していたのは、
たしかコピーライターの谷山雅計さんが書いた本の中に出てきた、
「あの人は100人いる」というフレーズ。

つまり、ぼくにとってあの人は友達であっても、
別の人にとって彼はときに息子であり、兄であり、
はたまたよくコーヒーを飲みにくる人であり、
たまたますれ違っただけの人でもある。

人は関係のなかに生きているのだから、
立場が違う人から見れば、「あの人」はあなたが思う「あの人」ではないということ。

人間の弱さに対して、忍耐強く向かいあえないと、
こんな小説は書けないと思います。

読み終わった時の自分の心情が楽しみ。

影響を受けざるを得ない本。

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